君への思い
君は、私をずっとドキドキさせてくれる
君は、私に知らない世界を見せてくれる
でも、私は思う。君はずるい人だ
でも、それでいいよ。私は許してあげる
「ここが図書館島内部かー、恥ずかしい話だけど、私一度も来た事なかったんだよね。探検部に
知り合いいなかったからさー」
夕映を先頭に、朝倉、ネギ、のどかと続く。図書館島探検部恒例の貴重図書捜索ツアーである。
目的の本は、少々危険な場所にあるらしく、ネギが教師として付き添う条件で特別に深部への
進入が許可された。
「なんであなたがここにいるですか?朝倉さん」
上目使いのジト目で夕映。
「まーまーゆえっち、堅いこと言わない。一緒にネギ君を守ろうと誓った仲じゃないの」
「誰がゆえっちですか。あ、ちょっと、無理やり肩を組むなですー」
「すいません夕映さん、カモ君がばらしちゃったみたいで」
「ふふ、この麻帆良パパラッチの異名を取る私をだしぬこうなんて10年早いってことよ、ゆえっち」
「だから誰が…、まあ、仕方ないですね。ちょうどパルがいなくて人手が足りなかったことですし」
「さっすが、話がわかるねー。あ、そこ地盤が緩んで崩れそうになってるから避けていってね。
そっちのコンクリで舗装されてる方行こう。ネギ君、念のため浮遊の魔法かけといてね」
「了解です。ラ・ステル・マ・ステル・マギステル…」
朝倉はずっとこの調子で高い危機回避能力を発揮し、図書館島探検部の二人をさしおいてリーダー
シップを発揮していた。
「すごい、朝倉さん。はじめて来たのにどうしてわかるんですか?」素直な感嘆をこめて、のどか。
「パルもそうですが、この世界には異常に勘のいい種族が存在しているようですね。恐るべしです」
戸惑いと畏怖をこめて、夕映。
「じゃあ、少し休憩にしましょう。あまり遠くまではいかないでくださいね」
ネギの提案で、比較的ひらけた場所で休憩を取ることになった。
「朝倉さん、ちょっといいですか」と夕映。
「お、どうしたゆえっち。トイレかい?」
「だからっ、違うです!ちょっと話があるです」
「りょーかいりょーかい。ネギ君ー、ちょっとゆえっちのトイレに付き合ってくるよー」
「朝倉さんっ、あなたという人は…」
「ごめんごめん、あんたからかいがいあるねー、私好きだよ」
「…もういいです。実はあなたに協力してほしい事があるです」
「ネギ君と本屋の仲を進展させる。そのために、ふたりっきりの状況を作りたいと、そういう事だね」
「…つくづく恐ろしい人ですね、あなたは」
「では手筈通りに…」と夕映。
「おまたせー、ネギ君、ちょっといいかな。本屋も」
「どうしました?」
「あっちのほうにね、目的の本らしきものがあるんだよ。で、やっぱり図書館島探検部が取ってきたほうが
いいかなーと思って、本屋と二人で行ってくれない?」
「…(ふふ、目的の本など真っ赤な嘘。あそこにあるのは、四方を本の壁に閉ざされた密室のみ。
そしてめくるめく禁断の世界に…。我ながら完璧な作戦!)」
「…(朝倉さん、あの人が乗り移ったような口調になってるです)」
「ちょっと足場が悪いですね、のどかさん、気をつけてください」
「あ、はい、すいません…きゃ!」足を滑らせたのどかが、バランスを崩す。倒れる先には崖、支えなど無い。
「のどかっ」夕映が叫ぶ
「くっ」とっさに朝倉がのどかに飛びつき、崖下に転げ落ちそうになったのどかの体制を立て直した。
しかし、本人は体を投げ出したため、バランスを保ちきれず崖下へと落下してしまった。
「まずった…」
「朝倉さん!ラ・ステル・マ・ステル・マギステル!」
落下する朝倉。はるか下方の水面に激突する刹那、ネギの手が朝倉の体を掴む。
「朝倉さん、よかった…」
「ネギ君…」
ネギはいったん朝倉を近くの水辺に下ろす。
「朝倉さん、大丈夫ですか?」
心配そうなネギを見つめる朝倉。
大丈夫ですか?
それは、とても単純で言い易く、とても軽い言葉。心がともなわなければ、とても白々しい言葉。
ネギ君、ありがとう。
この言葉を聞いて、こんなに嬉しいと思うなんて。
「ネギ君…本当に、君は誰にでもやさしいんだね」
「え…」
「ふふ、行こうか。みんなが待ってる。心配させちゃったからね」
それでいいよ、私は許してあげる。
もっと私をドキドキさせてほしいから
もっと私をいろんな世界に連れて行ってほしいから
私はわかっているんだ
私がずっと君のそばにいるには
君を好きにならなければいいんだよね
朝倉メインです。朝倉好きなんですよね。楓の次くらい。
ネギとつかず離れずでみんなのお姉さん的な役割をはたしてる裏で、
ひそかな思いを…、みたいなコンセプトで作りました。
しかし、のどかは動かし辛いです(´・д・`)